**「個人情報保護誓約書(Kojin Joho Hogo Seiyakusho)」**とは、業務で取り扱う「個人情報」の保護に特化し、従業員がその取り扱いルールを遵守することを会社に対して約束する書類です。

近年、日本の「個人情報保護法(APPI)」は改正によって規制が強化されています。企業は、顧客・取引先・従業員自身のデータを不適切に取り扱わないよう、厳格な管理体制を求められています。この誓約書は、コンプライアンス(法令遵守)を徹底し、企業の信頼を守るための防波堤となります。

1. 一般的な「機密保持誓約書(NDA)」との違い

多くの企業で取り交わされる「機密保持誓約書」と混同されがちですが、守るべき対象と目的が異なります。

  • 機密保持誓約書:
  • 主に企業の「営業秘密(トレードシークレット)」を守るのが目的です。
  • 対象例:独自のレシピ、プログラムのソースコード、未発表の製品情報、財務データなど。
  • 個人情報保護誓約書:
  • 個人の「プライバシー(権利)」を守るのが目的です。
  • 対象例:氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報、健康診断結果など。

特に、人事(HR)、営業、医療・介護といった職種では、センシティブな個人データを日常的に扱うため、この誓約書の締結は必須と言えます。

2. 従業員に求められる義務と禁止事項

この誓約書に署名することで、従業員は主に以下の2点を厳守することを約束します。

① 業務目的外の閲覧・利用の禁止(No "Snooping")

個人データへのアクセスは、正当な業務上の理由がある場合に限られます。

  • 禁止例:
  • 顧客リストから有名人の住所を検索する(興味本位の閲覧)。
  • 知人や友人の来店履歴や連絡先を勝手に調べる。
  • 業務に関係のない同僚の給与データを見る。
  • これらは重大なルール違反となり、懲戒処分の対象となることを理解する必要があります。

② 漏洩事故発生時の即時報告

万が一、データの紛失や漏洩が発生した場合、隠蔽せずに直ちに会社へ報告する義務があります。

  • よくある事故の例:
  • 個人情報が入ったUSBメモリやパソコンを紛失した。
  • メールの宛先(To/Cc/Bcc)を間違え、関係のない人に顧客リストを送ってしまった(誤送信)。

日本では、こうした「うっかりミス」や「内部不正」による情報漏洩が、企業の社会的信用を失墜させる大きなスキャンダルに発展するケースが後を絶ちません。この誓約書は、そうしたリスクを未然に防ぎ、万が一の際の責任の所在を明確にするために不可欠なものです。