急速な高齢化に伴い、働きながら家族の介護を行う「ビジネスケアラー」が増加しています。この書類は、育児・介護休業法で定められた労働者の権利を行使し、仕事と介護の両立(ワーク・ライフ・バランス)を実現するために不可欠なツールです。
以下に、この申出書に関連する制度の詳細、対象条件、金銭的な補償、そして記入のポイントについて詳しく解説します。
1. 介護休業制度の基本概要
介護休業は、単に「家族の世話をする」ためだけではなく、**「仕事と介護を両立するための体制を整える期間」**として位置づけられています。
- 取得可能日数: 対象家族1人につき、通算93日まで。
- 分割取得: 最大3回まで分割して取得することが可能です。
- (例:まずは入退院の付き添いで2週間、次に自宅のバリアフリー改修や施設探しのために1ヶ月、など状況に合わせて柔軟に使えます)
- 目的: この93日間は、自分だけで全ての介護を背負い込む期間ではなく、ケアマネジャーとの相談、介護サービスの選定、施設入居の準備など、復職後も無理なく働き続けられる環境を作るための準備期間として活用することが推奨されています。
2. 対象となる家族と取得条件
法的に介護休業の対象となる家族の範囲は広く設定されています。
【対象家族】
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母(養父母を含む)
- 子(養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
【要介護状態とは】
「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、**「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」**を指します。
これには、自分で食事や排泄ができない状態だけでなく、認知症などにより常時見守りが必要な状態も含まれます。介護保険制度の「要介護2以上」が目安とされることが多いですが、医師の診断によって要件を満たすと判断されれば、要介護認定を受けていなくても取得可能です。
3. 申出書の書き方と提出フロー
介護休業を取得するには、原則として休業開始予定日の2週間前までに会社へ申し出る必要があります。突然の事態に備え、早めの相談が鍵となります。
【申出書の主な記載事項】
- 申出人の情報: 氏名、所属部署など。
- 対象家族の情報: 氏名、申出人との続柄、生年月日。
- 対象家族の状況:
- 傷病名や要介護状態の内容。
- 介護保険の要介護認定を受けている場合は、その等級(要介護2など)。
- 休業期間: 休業を開始する日と終了する日、これまでの取得日数(分割取得の場合)。
【添付書類】
会社によっては、状況を客観的に証明する書類の添付を求められることがあります。
- 医師の診断書
- 介護保険被保険者証の写し
- 家族関係を証明する書類(住民票など)
4. お金と社会保険の知識(重要)
安心して休業するために、経済的なサポートと負担についても理解しておきましょう。
【介護休業給付金】
休業中に給与が支払われない場合でも、雇用保険から**「介護休業給付金」**が支給されます。
- 支給額: 休業開始時賃金日額の約67% × 休業日数
- 非課税: この給付金には所得税がかかりません。
【社会保険料の注意点】
育児休業とは異なり、介護休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は「免除」になりません。
会社負担分・本人負担分ともに支払う義務が継続します。休業中は給与から天引きできないため、会社と相談して「振込」や「復職後の給与からまとめて控除」などの支払い方法を決めておく必要があります。住民税についても同様の手続きが必要です。
5. 介護離職を防ぐために
介護は育児と異なり、いつ始まり、いつ終わるかが予測しにくいものです。「家族のことは自分だけでやらなければ」と抱え込み、仕事を辞めてしまう(介護離職)ケースも少なくありませんが、一度離職すると再就職や経済面でのハードルが非常に高くなります。
この「介護休業申出書」を活用することは、会社に迷惑をかけることではなく、あなたが長く会社に貢献し続けるための**「権利」であり「戦略」**です。
本テンプレートは、法的要件を網羅した標準的なフォーマットとなっており、必要事項を埋めるだけで簡単に作成できます。まずはこの書類を提出し、時間と心の余裕を確保して、プロ(介護サービス)の力を借りるための準備を進めましょう。