単なる「受領証」とは異なり、万が一の紛失・破損・情報漏洩などのトラブルが発生した際に、法的な根拠を持って対処するための契約としての側面を持っています。

以下に、この誓約書がカバーする範囲、従業員に課される義務、およびセキュリティ上の重要性について詳しく解説します。

1. 貸与品の範囲と所有権

この誓約書で対象となる物品は多岐にわたります。これらはすべて会社の経費で購入・管理されている「会社の資産」であり、従業員はあくまで「業務のために一時的に借りている」という認識を持つ必要があります。

  • IT機器: ノートパソコン、タブレット、社用スマートフォン、Wi-Fiルーターなど。
  • セキュリティ関連: 入館証(ICカード)、オフィスの鍵、セキュリティトークンなど。
  • 業務用品: 制服(ユニフォーム)、工具、車両、文房具、書籍など。

2. 従業員に求められる「3つの義務」

誓約書では、主に以下の3点について厳格なルールを定めています。

① 善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)

法的な用語で「善良なる管理者の注意義務」の略です。これは、「自分の私物と同じように扱う」だけでは不十分で、**「職業人として、社会通念上求められる高いレベルの注意を払って管理する」**ことを意味します。

  • (例)カフェでPCを置いたまま席を離れない、電車で網棚に荷物を置かない、など。

② 目的外使用・私的利用の禁止

貸与品は業務遂行のためだけに提供されています。

  • 社用スマホで私的なゲームやSNSを利用しない。
  • 会社PCに業務無関係のソフトをインストールしない。
  • 第三者(家族や友人を含む)に貸したり、使用させたりしない。

③ 転貸・譲渡・改造の禁止

会社の許可なく他人に貸したり、勝手に売却・処分したりすることは厳禁です。また、PCのメモリを勝手に増設するなどの改造行為も、資産管理やセキュリティ設定の観点から禁止されます。

3. セキュリティ事故の防止(情報漏洩対策)

現代において、備品管理は「物理的な資産管理」であると同時に、**「情報セキュリティ対策」**の要です。

ノートパソコンやスマートフォンには、顧客情報や社外秘の技術情報など、企業の存続に関わるデータが入っています。また、セキュリティカードや鍵の紛失は、不審者の侵入リスクに直結します。

「単に物を失くした」という金銭的な損失だけでなく、社会的信用の失墜につながる重大なリスクがあるため、誓約書を通じて管理意識の徹底を図ります。

4. 紛失・破損時の対応と損害賠償

万が一、貸与品を紛失したり壊してしまったりした場合のルールも明記されます。

  • 即時報告義務: 紛失や盗難に遭った場合、直ちに会社へ報告しなければなりません。迅速な報告があれば、PCのリモートロックや入館証の無効化など、二次被害(情報漏洩)を防ぐ手立てを打つことができます。「怒られるから」と報告を遅らせることが最大のリスクです。
  • 損害賠償責任: 従業員の「故意(わざと)」または「重大な過失(著しい不注意)」によって会社に損害を与えた場合、修理費用や代替品の購入費用などを請求する旨が記載されます。
  • ※通常業務中の軽微なミスによる破損であれば、全額賠償を求められることは稀ですが、泥酔して紛失した場合や、遊びに使って壊した場合などは対象となります。

5. 退職時の返却義務

退職時、あるいは休職時や業務変更により不要となった場合は、速やかに貸与品を返却しなければなりません。

返却を拒んだり、隠蔽したりした場合は「業務上横領罪」に問われる可能性があります。PC内のデータ消去やパスワードの解除など、会社が指定する方法で現状復帰して返却することが求められます。

この誓約書に署名・捺印することは、会社の資産を預かるプロフェッショナルとしての自覚を持つ宣言でもあります。テンプレートの内容をよく理解し、適切な管理を心がけましょう。