商品の輸入に際して納付する関税や消費税の額は、輸入ビジネスの採算性を左右する重要な要素です。
この税額を算出するための大前提となるのが「課税価格」です。
課税価格とは、税関が税額を計算するために用いる輸入品の価格(価値)のことであり、輸入者が単に「安い価格で申告すればよい」というものではありません。
日本の関税制度は、国際的なルールであるWTO関税評価協定に基づいており、課税価格を決定するための厳密なルール(関税評価)が定められています。
このルールを正しく理解し、適正な価格を申告することは、コンプライアンスを遵守し、安定した輸入ビジネスを継続するための基本中の基本です。
課税価格決定の原則:現実支払価格(取引価格)
日本の関税定率法では、課税価格を決定するための方法を6段階で定めていますが、その大原則となるのが第一の方法、「買手によって現実的に支払われた、または支払われるべき価格(現実支払価格)」に基づいて課税価格を決定する方法です。
これは、特別な事情がない限り、輸入者と輸出者との間で成立した取引価格、つまりインボイスに記載された価格を基礎として課税価格を計算することを意味します。
しかし、インボイス価格がそのまま課税価格になるわけではありません。この「現実支払価格」には、商品代金以外にも、輸入者が負担する特定の費用を加算する必要があります。これが「加算要素」です。
課税価格に含めるべき主要な「加算要素」
たとえインボイスに記載されていなくても、以下の費用を輸入者が負担している場合は、課税価格に加算して申告しなければなりません。
- 運賃・保険料: 日本の輸入港に到着するまでの運賃、保険料、その他運送に関連する費用(CIF価格の原則)。
- 手数料(コミッション): 輸入者が自己の計算で買い付けを行う代理人(買付代理人)に支払う手数料(買付手数料)は含めませんが、輸出者のために働く代理人(販売代理人)に支払う手数料は加算対象となります。
- 容器・梱包の費用: 商品と一体と見なされる容器や梱包にかかる費用。
- 無償または値引きで提供した物品・役務の費用: 輸入者が、商品の生産のために、輸出者に対して金型、設計図、原材料などを無償または割引価格で提供した場合、その費用や割引額は課税価格に加算します。
- 特許権・意匠権などの使用料(ロイヤルティ): 輸入者が、輸入する商品に関する特許権や商標権の使用の対価として、ライセンサー(権利者)にロイヤルティを支払う場合、それが取引条件となっているなど一定の要件を満たせば加算対象となります。
- 売上代金の一部が輸出者に帰属する場合: 輸入者が商品を国内で販売した後、その売上の一部を輸出者に支払う契約になっている場合、その支払額も加算します。
取引価格が適用できない場合
取引価格を基礎として課税価格を決定できない特殊なケースもあります。例えば、
- 親子会社間など、特殊な関係にある者同士の取引で、その関係が価格に影響を与えていると認められる場合。
- 無償で提供された商品(サンプルなど)で、取引価格が存在しない場合。
- レンタル品や委託販売品など、売買契約に基づかない輸入の場合。
このような場合には、第二以下の方法、すなわち「同種・類似の物品の取引価格」や「国内販売価格に基づく方法」、「製造原価に基づく方法」などを順次適用して、課税価格を決定します。
関税評価は非常に専門的で複雑な分野であり、判断に迷う場合は、必ず事前に通関業者や税関の「関税評価事前教示制度」を利用して相談することが重要です。
適正な申告を怠ると、後日の税関の事後調査で追徴課税や加算税が課されるリスクがあります。
詳細は
customs.
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htm" target="_blank" rel="noopener noreferrer">税関の関税評価に関するページで確認できます。