日本の貿易制度は原則として自由ですが、国民経済や安全保障、特定の国内産業保護の観点から、一部の品目の輸入には事前の許可が必要となる場合があります。

これが「輸入承認制度」であり、主に「輸入貿易管理令」という法律に基づいて運用されています。

輸入者は、これらの対象品目を輸入しようとする場合、通常の通関手続きとは別に、

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jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">経済産業省に対して「輸入承認(Import License - I/L)」を申請し、取得しなければなりません。

本稿では、輸入承認が必要となる主なケースと、その申請手続きの概要について解説します。

輸入承認が必要となる主なケース

輸入承認が必要となるのは、主に以下のような品目やケースです。

  • 特定の水産物: ニシン、さば、いわし、さんま、いかなど、国内の資源管理や需給調整のために特定の海洋法条約等に基づき輸入数量が制限されている水産物が対象です。これらの品目を輸入するには、事前に経済産業省から輸入割当(Import Quota - I/Q)を受け、その範囲内で輸入承認を申請する必要があります。
  • ワシントン条約対象品目: 前稿で解説した通り、絶滅の恐れのある野生動植物(附属書Ⅰ掲載種など)の輸入には、経済産業省の輸入承認が必須です。
  • 特定の地域からの輸入規制: 国際的な平和と安全の維持のため、国連安全保障理事会の決議などに基づき、特定の国や地域(例:北朝鮮)を原産地または船積地とする貨物の輸入が原則禁止または制限されており、特段の事情がある場合にのみ承認されます。
  • 化学兵器禁止法・麻薬及び向精神薬取締法などに関連する化学物質: 悪用の恐れがある特定の化学物質の輸入には、厳格な管理の下で輸入承認が必要となります。

「関税割当(Tariff Quota - T/Q)」制度とは?

輸入承認制度と関連が深いものに「関税割当制度」があります。

これは、バター、脱脂粉乳、特定の革製品など、内外価格差が大きい等の理由で国内産業の保護が必要な品目に対して適用される制度です。

この制度では、一定の輸入数量の枠(一次税率適用枠)を設け、その枠内の輸入については低い関税率(一次税率)を適用し、枠を超えた分の輸入には非常に高い関税率(二次税率)を適用します。

この低い一次税率の適用を受けるためには、輸入者は経済産業省(品目によっては農林水産省)から「関税割当証明書」の発給を受け、それを税関に提出する必要があります。

この証明書の発給を受ける手続きが、実質的に輸入承認申請と類似しています。

輸入承認の申請手続きの概要

申請手続きは、対象となる品目や制度によって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

  1. 申請資格の確認: 制度によっては、申請者に一定の実績や資格が求められる場合があります。
  2. 申請書類の準備: 経済産業省のウェブサイトから指定の様式をダウンロードし、必要事項を記入します。主な申請書類は以下の通りです。
    • 輸入(承認・割当)申請書: 2通提出します。
    • 輸入契約書またはそれに代わる書類: 輸出者が発行したインボイス(送り状)など、契約内容を証明する書類が必要です。
    • その他、制度ごとに定められた添付書類: 例えばワシントン条約の場合は、学術研究目的であることの誓約書などが必要です。
  3. 申請書の提出: 準備した書類を経済産業省の担当課(例:貿易審査課)に提出します。現在、多くの手続きは電子申請システム「NACCS貿易管理サブシステム」を通じてオンラインで行うことが推奨されています。
  4. 審査と承認(割当): 経済産業省が申請内容を審査し、法令の要件を満たしていると判断されれば、「輸入承認証」または「関税割当証明書」が発給されます。
  5. 税関への提示: 発給された承認証や証明書を、輸入通関時に税関に提示することで、初めて貨物の輸入が許可されたり、低い関税率が適用されたりします。

これらの手続きは専門性が高く、公示や公募の期間が限られている場合も多いため、計画段階で経済産業省のウェブサイトを頻繁に確認するか、通関業者などの専門家に相談することが不可欠です。