海外の美しいデザインの木製家具や、建築・DIY用の木材を日本へ輸入する際には、品質やデザインだけでなく、目に見えない「病害虫」のリスクに注意を払う必要があります。

日本の森林資源や農業を海外からの侵入病害虫から守るため、「植物防疫法」では、木材や木製品の輸入に対して厳格な検疫措置を定めています。

特に、貨物の輸送に使用される木材こん包材(パレット、木箱など)は、国際基準に基づく処理が義務付けられており、このルールを遵守しなければ、貨物全体の輸入が差し止められるという深刻な事態になりかねません。

植物検疫の対象となる木材・木製品

植物防疫法上、検疫の対象となるのは、生きている植物だけでなく、加工度が低い木材や竹材も含まれます。

一方、合板(ベニヤ板)やパーティクルボードのように、高熱・高圧処理を経て製造された加工品は、病害虫が生存できないため、通常は検疫の対象外となります。

主な検疫対象品:

  • 丸太、製材
  • 木製家具: 特に、無垢材を使用した家具や、加工度が低いアンティーク家具などは注意が必要です。
  • 竹材、籐製品
  • 木材こん包材: これが最も重要です。商品そのものではなく、商品を載せているパレットや、商品を梱包している木箱、スキッドなどが対象となります。

国際基準ISPM No.15と木材こん包材の処理

国際貿易における木材こん包材を介した病害虫の拡散を防ぐため、国際植物保護条約(IPPC)は「国際基準No.

15(ISPM No.

15)」を定めています。

日本を含む多くの国がこの基準を採用しており、輸入される貨物に使用される木材こん包材は、この基準に従った処理がされていることが必須条件です。

ISPM No.15が定める処理方法:

  • 熱処理(HT): 木材の中心温度が56℃以上で30分間維持されるよう加熱処理する。
  • 臭化メチル燻蒸処理(MB): 臭化メチルを使用して燻蒸する(ただし、環境への影響から使用は減少傾向にあります)。

この処理を行った木材こん包材には、IPPCが定めた国際的なマーク(スタンプ)を表示することが義務付けられています。

このマークには、IPPCロゴ、国コード、登録業者番号、そして処理方法(HTまたはMB)が記載されています。

輸入時に必要な手続きと書類

木製家具や木材を輸入する際、輸入者は以下の点を確認し、手続きを行う必要があります。

  1. 輸出者への確認と依頼: 貨物の梱包に木材こん包材が使用される場合、輸出者に対し、必ずISPM No.15基準に適合した処理済みの木材こん包材を使用し、規定のマークが表示されていることを確認するよう、強く要求する必要があります。
  2. 検査証明書(Phytosanitary Certificate): 商品自体が丸太や製材など、植物検疫の対象となる場合は、輸出国政府機関が発行した「検査証明書」が必要です。
  3. 植物検疫検査の申請: 貨物が日本に到着したら、輸入者は農林水産省の植物防疫所に「輸入植物検査申請書」を提出します。
  4. 現物検査: 植物防疫官が、コンテナを開封し、木材こん包材に規定のマークがあるか、また貨物自体に病害虫が付着していないかなどを検査します。

もし、木材こん包材にマークがなかったり、生きた病害虫が発見されたりした場合は、植物防疫所の命令により、貨物全体が消毒(燻蒸など)、廃棄、または積戻し(返送)の対象となります。

これらの費用はすべて輸入者の負担となり、莫大な損失に繋がります。

木材関連製品の輸入を計画する際は、契約段階で梱包条件について輸出者と綿密に打ち合わせることが、リスクを回避する上で最も重要です。

ワシントン条約(CITES)対象の木材(ローズウッドなど)を使用している場合は、別途

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jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">経済産業省の許可が必要になるため、併せて注意が必要です。