海外の先進的な医療機器を日本に導入することは、医療の質の向上に貢献する重要なビジネスです。

しかし、医療機器は人の生命や健康に直接的な影響を与えるため、その輸入・販売は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)」によって、最も厳格に規制されている分野の一つです。

海外で広く使用されている機器であっても、日本の薬機法が定める複雑な手続きをクリアしなければ、国内で使用することはできません。

本稿では、医療機器を輸入するための基本的な枠組みである「クラス分類」と、それに応じた「製造販売承認・認証・届出」の手続きについて解説します。

輸入の前提となる業許可

個別の製品手続きの前に、化粧品と同様、輸入販売を行う事業者自身が、都道府県から以下の業許可を取得する必要があります。

  • 医療機器製造販売業許可: 輸入した医療機器の品質・安全性の最終責任を負うための許可。
  • 医療機器製造業登録: 国内で製品の保管や日本語ラベルの貼付などを行うための登録。
  • 医療機器販売業・貸与業許可: 医療機器を医療機関や消費者に販売・レンタルするための許可。

医療機器のクラス分類と必要な手続き

薬機法では、医療機器を、人体に与えるリスクの高さに応じて4つのクラスに分類しています。どのクラスに該当するかによって、輸入・販売に必要となる手続きが大きく異なります。

  • クラスⅠ(一般医療機器): 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの。(例:メス、ピンセット、聴診器、X線フィルムなど)。手続きは最も簡素です。
  • クラスⅡ(管理医療機器): 不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの。(例:MRI装置、家庭用マッサージ器、電子体温計、コンタクトレンズなど)。
    • 手続き: 国が指定した第三者登録認証機関による「認証」が必要です。事業者は、製品の品質・有効性・安全性に関する資料(STED: Summary Technical Documentation)を認証機関に提出し、基準への適合性審査を受けます。「認証書」が発行されれば販売可能です。
  • クラスⅢ(高度管理医療機器): 不具合が生じた場合に、生命や健康に重大な影響を与える恐れがあるもの。(例:人工透析器、人工骨、歯科用インプラントなど)。
    • 手続き: 最も厳格な「承認」が必要です。事業者は、PMDAに対して承認申請を行い、専門家による科学的な審査を受けます。多くの場合、日本国内での臨床試験(治験)のデータが要求されます。審査を経て、厚生労働大臣の承認を得る必要があります。
  • クラスⅣ(高度管理医療機器): 患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合に生命の危険に直結する恐れがあるもの。(例:ペースメーカー、人工心臓弁など)。
    • 手続き: クラスⅢと同様に、厚生労働大臣による「承認」が必要です。審査は最も厳格に行われます。

輸入通関時の必要書類

税関での輸入申告時には、通常の通関書類に加えて、上記の薬機法に基づく手続きを完了していることを証明する書類が必要です。

  • 製造販売業許可証の写し
  • 製造販売届出書の控え(クラスⅠ)
  • 登録認証機関が発行した認証書の写し(クラスⅡ)
  • 厚生労働大臣が発行した承認書の写し(クラスⅢ、Ⅳ)
  • その他、税関が必要と認める書類(成分表、製品カタログなど)

医療機器の輸入は、規制が非常に複雑で、高度な専門知識が求められます。

クラス分類の判断から承認申請資料の作成まで、自社だけで対応するのは困難な場合が多く、薬事業務に精通したコンサルタントや行政書士と連携して進めるのが一般的です。